医療機器に関する基礎知識と知っておくと話題になる雑学をわかりやすく解説

医療機器は薬機法(医薬品医や療機器等の品質有効性及び安全性の確保等に関する法律)の第2条によりその定義が定められています、これだけ聞くと難しく感じられますし、この定義だけでは曖昧なものがあり、健康器具や一般器具との明確な仕分けは困難です。
機器の中には普段耳にする名前も多くあり、様々なところで使用されているのが事実です。
ここでは国内での主な医療用機器の分類と、意外な場所で使われている商品のご紹介をいたします。
医療機器に関する基礎知識と知っておくと話題になる雑学をわかりやすく解説
医療機器の基礎知識として、メスや聴診器血圧計などの一般医療機器と、MR装置やX線診断装置などの管理医療機器と、心臓カテーテルや人工心臓弁などの高度管理医療機器の三つに分類されます。
主に現場医療で使われていると思いがちですが、私たちが身近に利用するスポーツクラブにも設置されているのです。
勘違いしがちなのが、スポーツジムも同じではないかという認識ですが、ジムはトレーニング用マシンなど、筋力を鍛えるトレーニングに特化した運動施設なので、医療用機器は置いていません。
しかしスポーツクラブには筋肉増強やウエイトを調整するものだけでなく、イス型マッサージチェアがあり、これが医療機器に該当するのです。
安全性と有効性を知る上で必要な医療機器の治験
治験と聞くと医薬品をイメージするかもしれませんが、医療機器においても同様の試験をします。
既存の医療機器と性能が異なりその性能を文献や非臨床試験では評価できない、機器の特性や使用方法が多様である場合などですが、臨床試験をおこなうことで効果や性能、人体に対する安全性を評価します。
例えば体内で使用する骨折時のボルトや超音波検査機などがこれに該当し、臨床の場で実際に使用することで安全性と有効が確認できます。
医療機器は非臨床試験によって機器としての有効性を評価することはできますが、それが実際の治療によるものなのか機器の有効性のためなのかは判断しづらいことがあります。
それを確かめるのが治験で、道具としての性能に加えて、どのタイミングでどのように使用すれば効果的なのか、機器使用によるリスクが本当に有効性より低いかどうかも確認します。
ただし体内に埋め込むタイプの機器は長期評価が難しく、手術の際の医師の技術が影響するなど課題もあります。
医療機器の治験はどうやって実施しているか
医療機器の開発には、医薬品との開発とは異なり、医師による医療現場からの会良品開発の提案が少ないので、試作品の改良を重ねて製品が開発されていることが特徴です。
そして、製造と販売には「届出」と「認証」あるいは「承認」が必要になります。
医療機器の治験は、まずは試作品の機械や動物などを使用した基礎試験によって、目的とした性能を発揮するのかを検証する非臨床試験が実施されます。
医薬品と異なり、すべての製品について臨床試験の必要がなく、この段階で臨床応用について十分だと判断されるために、ほとんどの臨床試験が行われることはありません。
治験を実施前には治験審査委員会での審査の承認後に治験が開始されます。
非臨床試験を通過した医療機器候補が人にとって有効で安全なものかどうかを調べるのが治験で、3段階に分かれています。
第一段階では少数の健康な男性、第二段階では少数の新しい治療の対象になる方、第三段階は多数の対象となる方によって繰り返し試験が行われます。
これらの結果によるデータを収集して実際に効果があり使用できるものであるかを判断します。
厚生労働省に承認されれば、医療機器として販売される流れとなります。
どの医療機器も値段が高い高額の理由
医療機器にはハサミやメスなどの鉄製小物、人工呼吸や器麻酔器など中型の機器、またX線CTやMRIの大型診断機器や埋め込みタイプのペースメーカーや人工関節、人工透析の装置や内視鏡など多種多様の製品があります。
現代の医療では診察室や手術室や集中治療室や救急医療現場など、ほとんどの臨床現場で使われているのです。
日本の機器が高額なのは、医療機器の多くが欧米からの輸入品であり、生産国と日本での価格に大きな開きがある為です。
内外価格差の背景で過去の貿易交渉からの面で、外国側から日本市場への参入に関して働きかけがあったことも一因とされます。
それでも国産のメ-カ-は、医療機器の内外価格差の実態を明らかにし、安価な医療機器の開発に挑もうとしていますが、まだシェアの確保は簡単でないのが現状です。
日本のメーカーは内視鏡やMRIなど、診断機器の分野では一定の世界シェアを持っていますが、人工関節や放射線治療装置や腹膜透析装置などの治療機器では、欧米のメーカーが高いシェアを誇っているので、国際競争力を高めるためにこの治療分野を中心に検討して行く必要があります。
またアメリカのように、機器の開発リスクを避けるために優秀な技術や製品を持つベンチャー企業を買収し、大手企業が量産して販売するという取り組み方を見習い、日本でも医療系のベンチャー企業人材の育成や、ネットワークの構築にも力を入れています。
さまざまな医療機器の標準的な値段
診療に必要となる医療機器は診療科ごとに大きく異なりますが、一般的な価格の相場や導入費用を知っておくことは事業計画を立てる上でも重要です。
例えば、幅広い分野の診療科で必要となるレントゲンは、立位で撮影する一般撮影用のもので300万程度必要となります。
同じく画像診断の医療機器として要となるエコー検査機器においては300万円から800万円となっていて、画像処理能力の高さで値段が決まってきます。
さらに、精度の高い診断を行うためにCTを導入するのであれば1000万円はかかり、内視鏡検査を実施したい場合には500万円ほどの値段がかかるでしょう。
また、現在では多くの診療所で取り入れられている電子カルテは、診察室と受付の2台であれば200万円から300万程度で導入することができ、1台増やすごとに50万ほど必要です。
いずれの診療科においても、医療機器の予算として1000万円以上はかかることを考慮しておくことが必要となるでしょう。
医療機器を製作している意外な会社
高度な医療技術を有する日本では、毎年新しい医療機器が誕生しています。
モノづくりに長けているお国柄ともいえるところで、世界各国でもメイドインジャパンの医療機器を数多く導入する病院が多いほどです。
ここでは簡単に、どのような会社が医療機器の製作をしているのか見ていきましょう。
多くの方が意外だと感じるのが、光学機器を専門にしてきた企業です。
カメラの製造を一手に引き受けていたところであり、いまでは国内のすべての光学企業が医療器具の開発をしています。
たとえば胃腸の検査をするための内視鏡、さらには手術を支援するためのカテーテル、人工呼吸器なども含まれているわけです。
なぜカメラを製作していた会社が医療機器も担当するようになったのか、これは精密機器であるからといえます。
非常に小さな形状なので、その組み立て・部品の作成に長けていないといけません。
カメラがその代表格であり、延長線上で開発ができたわけです。
各医療機器が誕生するまでの道のり
国内では数多くの医療施設が点在しており、さまざまな医療機器を駆使して毎日多くの患者の治療に励まれています。
治療の基盤を担っているのが医療機器であり、どのような施設でも1台以上の機器を備えて業務をしているわけです。
そこでここでは、この医療機器が誕生するまでの道のりについて簡単に見ていくことにしましょう。
例として内視鏡が誕生するまでを見ていきます。
この医療器具は1979年に開発されており、実用されるまでに5年間の年月を要しました。
最初に光学機材を取り扱う会社と大学病院が共同で研究しており、臨床現場で実際に試作品を使用して対応されました。
当初は5センチ以上もの大きなカメラを有していたので、実用をするには不具合が大きいものでしたが、改良を重ねることで最終的には1センチに抑えることができたわけです。
そして現在では0.2ミリ以下のマイクロスコープとなり、患者の負担を大幅に軽減することに成功しました。
医療機器をできるだけ安く購入する方法とは
医療機器は一般に販売されているものより値段が高くなる傾向があります。
たとえは冷蔵庫でも医療用と名前がつくとそれだけで多額になります。
できるだけ安く購入する方法は、中古品を狙うことです。
公立の病院では使用している機器が壊れていなくても、老朽化が進むと買い換えることがあり、問題なく使用できるものでも中古品として市場に出回ります。
これらの製品は中古品を取り扱っている専門の業者が引き取って販売しているので、安く購入する場合はこれを購入します。
最近は中古品の販売に一定のルールがあり、きちんと点検をしているか、アフターフォローが万全かなどの条件があり、中古でもお得に購入ができます。
新しい医療機器では大量の購入で格安になります。
医療機器は大量に市場に出回るものではないので値段が高くなっているので、多くの施設が一手に同じ機種を購入することで単価が下がりお得に買うことができます。
高度医療に対応する最新の医療機器
いつまでも元気であり続けたいと願う健康志向が高まる中、医学の進歩もともなって人生100年時代といわれる世の中になりました。
しかし日本人が生涯のうちにがんと診断される確率は依然として高く、2018年のデータでは男性で65.0パーセントで女性では50.2パーセントになっています。
また、がんが原因で死亡する確率は、男性が26.7パーセントで女性が17.9パーセントという2020年のデータもあります。
がんの治療法としては手術や抗がん剤の投与などがありますが、欧米ですでに主流となっているのが放射線治療です。
効果の高さや副作用の少なさから、日本でも最初の選択肢として考えられつつあります。
そうした放射線治療を手助けするための医療機器が2003年に開発され、それから徐々に普及しました。
CTの機能も持っているため、臓器の位置を正確に把握することができます。
最新の機器では照射の直前にCTで位置合わせを行うため、より正確性が増したのも特徴です。
一回の治療にかかる時間は約20分で入院の必要もないため、患者の身体的な負担は少ないといえるでしょう。
今後も新たな医療機器の登場に期待をよせたいところです。
今後開発されるであろう未来の医療機器を予測
医療機器といっても、健康系から美容系まで幅広く存在しますが現時点ではかなっていない機器はたくさんあります。
人類の進化にとって医療機器は切り離せないものでありますが、未来にはどのようなマシンが出てくるのでしょうか。
美容分野で言えば、近年は医療脱毛がブームとなっておりそれを引っ張っているのが各種レーザー機器です。
レーザーにはいろいろな波長があって、それに合わせて様々な施術ができます。
医療機器ですのでエステでは使う事が出来ませんし、医療機関で美容の施術を受けるのが当たり前になってきています。
今後はますます、アンチエイジング分野での開発が期待されているのが実際のところです。
又、今後開発されるのが望まれるのががんの早期発見です。
早期発見をすることで、生存率が飛躍的に上がりますしこれまで早期発見が難しかった部位へのアプローチが期待されます。
あくまで予測の域を出ませんが、多くの人に臨まれていることです。